フィルター自動お掃除機能付き エアコンクリーニング

当店はフィルター自動おそうじ機能付きのエアコンに高い料金設定をしています。それだけ分解洗浄が面倒で時間がかかるということです。今はもっと高いのですが,電話でのお問い合わせで「フィルター自動お掃除エアコンはそれ1台で20,000円です」と言ったら「高っ!」とおっしゃった方がいました。率直なご意見です。20,000円は高い…その価値観は尊重いたします。ですが当店では表示料金からの値下げは致しません。

もう一つの理由として,自動お掃除機能の付いたエアコンへの反発があります。「お手入れが楽♪ハイテクで高級なイメージ☆」を抱かせて販売価格を高くするメーカーへの抗議です。現実の使用環境では,汚れを防ぐ能力に不足を感じることが多いのです。分解して内部を初めて見たお客様は,その現実を見てショックを受けます。「お掃除機能付きでもこんなに汚れるの? 買うとき高かったのに!」。そこで当店は,「今度買うときは,付加機能のない安いものを選んでくださいね」と言います。ほとんどのお客様は同意してくださいます。消費者から選ばれなくなれば,お掃除機能付きを作らなくなるのでは,と地道に運動しています。

エアコン内部が汚れる原因の一つがホコリです。そのホコリを防ぐ目的で,正面のパネルの内側に目の細かいフィルターがセットされています。エアコンを冷房で使うときは特に,少なくとも月に一度,フィルターを外してホコリをとってあげる必要があります。フィルターのお手入れは忘れがちだし,面倒です。そこで,フィルターに付いたホコリをはらい落とすロボットを取りつけたのが,「フィルター自動お掃除機能付き」のエアコンです。当時のナショナルが「10年間お手入れ不要」という魅力的なコピーで発売しました。

今はほとんどのメーカーが「フィルター自動お掃除機能付き」を発売していて,量販店の展示では自動お掃除機能のない普及機が目立たない場合もあります。店員さんによっては「自動お掃除機能のないものはエアコンじゃない」ぐらいの言い方をします。値段もかなり下がってきていて,7万円台で「自動お掃除機能付き」ということもあります。ここでは「自動お掃除機能」とひとくくりにしていますが,お掃除ロボットの考え方や動き方,つまり設計はメーカーによってかなり違います。比較的単純で多少人の手を借りるものもあれば,全自動にこだわり,複雑にパーツと配線を組み合わせてあるものもあります。

フィルター自動お掃除機能付きエアコンの根本的な問題は,汚れの原因はホコリだけではないということです。冷房時に内部を水浸しにする結露水,室内空気中の油分,動物の毛や砂塵,そしてカビの繁殖を促す室内温度は,「フィルターのホコリを落とせば大丈夫」という想定を超えた環境です。

一般家庭では調理に使う油が蒸気になってエアコンまで流れます。ペットを飼っているお宅ではホコリではなく毛足の長い毛が空中を舞います。お掃除機能の運転に対応した丈夫で目の細かいフィルターは,目詰まりしやすいです。実は説明書に「ときどき外してお手入れしてください」と書いてある,そのフィルターを外してみます。

フィルター自動お掃除機能付きエアコンのフィルター

見た目にはホコリをとってあり,ロボットが働いているのが分かるのですが,指には粘着性の油分を感じます。丈夫なステンレス製の網目は細かく,その油分で通気性能が落ちています。指で擦ってみた部分が白くなっていて,通気性の悪さが視覚的にも分かると思います。

フィルターが目詰まりすると,フィルターのない部分からの気流が増えます。本来フィルターに守られているはずの熱交換器にホコリが行きます。熱交換器は冷房時に濡れていますので,ホコリがしっかり貼りつきます。こうなるとカビが発生し始めます。

フィルター以外の場所から空気を吸いますのでファンまで汚れてきます。

「フィルター自動お掃除ロボット」ですから,フィルターの中はノータッチです。ついでに書かせていただくと,このエアコンには空気清浄機能と換気機能とプラズマ発生機能も付いていました。お部屋の空気をキレイにするはずで,フィルターのお手入れを最小限にするはずのエアコンも,カビが生えてしまえばお手上げです。人の手で分解して中まで洗ってあげる必要があります。そんなわけで,お掃除エアコンがなくなることを願いつつ,洗ってほしいお客様のご要望にこたえるべく,どちらかというと消極的な気持ちで,フィルター自動お掃除機能付きのエアコンもクリーニングを承っています。

当店は,家庭用壁掛け型のエアコン(室内機の幅が100センチ以内)を3つのタイプに分類してクリーニング料金を設定しています。本当は機種ごとに料金を設定したいのですが,現実的ではありませんし,お客様も分かりにくいと思います。それで,これまでの経験から分解組立ての難易度を考えて3つのタイプに分類し,料金を設定しました。大雑把な分類なのですが,1.一般的な壁掛け型,2.換気機能が付いているもの,3.フィルター自動お掃除機能が付いているものです。

自動お掃除機能が付いているかどうかは,意外と分かりにくいです。取扱説明書を見ていただくのが最善です。もし説明書が見当たらなければリモコンをご覧ください。「フィルター掃除」とか「手動お掃除」などの特別なボタンがありますか。1時間以上冷房で使った後に,室内機の中で何かしら動いているとしたらお掃除機能付きです。内部乾燥のためファンが回る機種もあるので,ファンだけで判断しないで下さい。もっとはっきりした機械動作音がします。

フィルター自動お掃除機能付きは,通常のエアコンに比べると,お掃除ロボットのユニットを取り外し,クリーニングし,取り付ける手間が増えます。さらに多くの場合,空気清浄機能やプラズマイオン発生装置なども付属しています。お掃除ユニットの誤作動や故障を防ぐために,たくさんのセンサーが付属しています。すべてに手がかかります。付加機能を養生して洗うのではなく,分解して(取り外して)洗う手間と時間を考えて,高い料金を設定しています。

自動お掃除機能を取り外し,さらに奥まで分解して洗います

下の画像にポインタを乗せてみてください。クリーニング後の画像に変わります。

リビングで5年使用のフィルター自動お掃除機能付きエアコン。化粧板の中はこんな感じになっています。ポインタを乗せるとクリーニング後の画像に切り替わります。

自動お掃除機能付きの化粧板,クリーニング前後

ファンを見ると,こちらも汚れています。ポインタを乗せるとクリーニング後の画像に切り替わります。

自動お掃除機能付きの送風ファン,クリーニング前後

フィルター自動お掃除機能を外すために,制御基板を取り外す必要があります。コネクタを外して基盤を取り外します。写真は基盤が外れた状態です。お掃除機能だけではなく,グリルのポップアップや上下左右のルーバー(風向き板),各種センサーなどの配線がつながっており,一般的な機種とは比較にならないぐらい数が多いです。この機種はお掃除ロボットがゆっくり左右に動きながらフィルターのホコリをはらい落とす設計です。

自動お掃除機能付きエアコンの基盤を取り外す

フィルター自動お掃除機能は,熱交換器にかぶさる枠のように取り付けられています。表側はロボットがホコリを払いますが,内側は? 手つかずですし,カビも見受けられます。ポインタを乗せるとクリーニング後の画像に切り替わります。

自動お掃除機能付きのフィルター枠,クリーニング前後

枠部分を洗いたいので,お掃除ロボットを取り外します。通常のエアコンよりも分解と組み立てに時間がかかります。そして小さな部品なので神経を使います。

自動お掃除ロボットを取り外す

ここからがエアコン本体の分解です。外せる設計の場合はまずドレンパンを外します。ドレンパンの水受けとファンに面した部分は驚くほど汚れています。左右の風向き板が汚れているということは,ファンからカスが飛んでいることを意味しています。ポインタを乗せるとクリーニング後の画像に切り替わります。

自動お掃除機能付きのドレンパン,クリーニング前後

ドレンパンを外すと送風ファンが露出します。モーターを養生してこのまま洗うこともできますが,ファンもモーターも取り外してしませばもっと奥まで見ながら洗えます。この機種はモーター防水がしっかりしている分,取り出しにくいのでファンだけ外しました。ポインタを乗せるとクリーニング後の画像に切り替わります。一瞬で切り替わりますが,実際にはファンを取り外して,洗浄カバーをかけて,高圧洗浄が終わるまで40分ほどかかっています。

自動お掃除機能付きの熱交換器高圧洗浄,クリーニング前後

送風ファン(クロスフローファン)を外して手元で見ると,かなりの汚れです。外してしまえば,腰のある刷毛を使って漂白剤で除菌洗浄できます。羽のカーブ外側は洗いやすいのですが,内側にもカビが生えています。そして内側が風を作る部分です。工夫して洗うのですが,乾かすと取り残しが出てくる場合があります。再洗いしてしっかり落とします。ポインタを乗せるとクリーニング後の画像に切り替わります。

自動お掃除機能付きの送風ファン,クリーニング前後

すべてを洗い終われば,分解順序をさかのぼって組みたてていきます。フィルター自動お掃除機能が付いている場合,それぞれのパーツが狂いなく組み上がっていなければなりません。お掃除ロボットが枠から外れずに何年も動くには,パーツが設計通りの位置に戻っている必要があります。そこで,あちこちにセンサーが仕込んであります。パーツがきちんとはまっていないと動かないようになっています。組み立て時にセンサーで苦労することがあります。このエアコンでは,センサーの取り付けが逆になっていたため動作せず,エアコンが動きませんでした。この原因に気づくまでにもう一度分解するなど回り道して,2時間以上余分にかかりました。

自動お掃除機能付きエアコンにはセンサーが付いています

フィルター自動お掃除機能付きのエアコンでも,フィルターの中が汚れてしまえばお手上げです。分解して高圧洗浄が必要です。エアコンで主に洗いたいのは熱交換器です。化粧板,ドレンパン,ファンは取り外せば簡単に洗えます。洗いたい熱交換器に(まるで妨害するように)かぶさっている,フィルター自動掃除機能。そしてその保護を目的としたセンサー類。エアコンクリーニングに呼ばれてきているのに,何か別のものと格闘している気がします。

新しく買うときは,ぜひシンプルなエアコンを!

エアコンは構造的に内部にカビが生えます。その意味で分解洗浄が必要な機械です。いろいろなエアコンを洗ってみて思うのは,シンプルイズベスト。冷暖房できて,冷房使用後に自動で内部乾燥する機能があるもの。いってみれば一番安い機種がおススメです。

空気清浄機能,換気,プラズマイオン発生,そしてフィルター自動お掃除。カビの生える機械ですから,何シーズンか使ったものを分解して見ると,その機能が働いているのか疑問に思います。どうか宣伝やコピーから感じるイメージに惑わされないでください。シンプルな機種を買って,その差額で分解洗浄の回数を増やすほうが賢明です。

当店のエアコンクリーニングのメリットと…

分解,高圧洗浄,エコ洗剤

  • ドレンパン・ファン・モーター・制御基板・自動お掃除機能まで★★★

    当店は,洗う前にどこまで分解するかが重要だと考えています。フィルター自動お掃除機能部分も取り外して分解メンテナンスします。水にぬれてはいけないものを外してしまうので思いっきり洗えます。
    外してしまえば,そのパーツの汚れ具合を見ながら手元で洗えます。壁に残る室内機も,パーツが重なり合っていて水流が届かなかった部分が洗えます。
    有料オプションですが,壁側化粧板まで外して洗いたいというご要望にも対応しています。
    通常は制御基板,お掃除機能(お掃除ロボット),ドレンパン,クロスフローファン,ファンモーターを外して洗います。

  • 高圧洗浄です★★★

    洗浄剤を差し込む時からキョーワ製のポンプを最高圧3.5Mpa(約35Kgf/c㎡)で使います。この圧力により,アルミフィンの側面の汚れを落とし,詰まっている汚れを向こう側に吹き飛ばすことができます。

  • エコ洗剤を使います★★★

    通常ピアを温水に溶かして洗浄剤を作ります。弱アルカリ性で洗浄成分は植物由来の界面活性剤です。これに汚れへの浸透力を強化するためにリモネンを添加します。
    ただし,たばこのヤニや油で粘着質の汚れがある場合は,エアコン用に作られているアルカリ性洗浄剤を使います。
    外したパーツは強力な除菌・消臭効果のある次亜塩素酸ナトリウムを主要成分とする漂白剤で洗います。洗いあがったドレンパンや化粧板(正面のパネル)は「新品みたい」と喜ばれます。

  • ちょっとしたサービス★★☆

    力が足りない・手が回らない時はご安心ください。エアコン周りに置いてある物の移動はお手伝いします。普段動かさない家具の下はホコリがたまっています。簡単にお掃除します。室内機周りの壁紙クロスも気になる汚れを落とします。

当店が経験上感じている限界

  • 分解したいのですが☆☆☆

    分解の程度は機種や設置状況で異なります。ドレンパンが独立していない機種のものは外せません。通常の分解ではファンやモーターが外せない機種もあります。壁や天井に近い設置で手が入らず,外せないということもあります。モーターの軸が錆びていてファンが抜けないこともあります。工夫しますが,すべてのケースで分解を保証するものではありません。

  • しっくいや珪藻土☆☆☆

    洗浄時に壁を濡らさずにお掃除するのは難しいです。吸水性壁面の場合,可能な限り濡らさないようにする養生,濡れた場合の対処はしますが,うっすらと跡が残る場合もあります。ご了承ください。

  • 多機能になるほど複雑☆☆☆

    エアコンが多機能になるほど,内部設計が複雑で繊細になりますので,分解組立て時の事故リスクも高くなります。コネクタの挿し方が甘い,センサースイッチが働かないなどの修復可能なミスも出やすくなります。
    故障の場合はメーカー修理が来るまでの期間,修復可能なミスでも原因をつきとめて動くまで数時間,エアコンが使えません。作業中の事故・故障は賠償責任保険で対応していますが,エアコンを使えない時間に生じる不便についてはご容赦ください。

  • 洗えない☆☆☆

    設置状況で洗浄作業が難しい,クリーニングに対するお客様のご要望に合わせるのが難しいと感じた場合,ご注文を辞退することもあります。

エアコンクリーニングをご依頼いただく場合

エアコンクリーニングでは,エアコンの下とその周りに作業空間が必要です。普段何か置いてある場合は,事前に移動していただければ幸いです。最低でも下に脚立が置ける広さ,可能なら畳3枚分ぐらいの空間があると動きやすいです。もちろん力が足りないとか手が回らない場合は,当日お手伝いします。ベッドがあるなど,移動が不可能な場合は工夫します。

クリーニングには,電気と水道,できれば温水が必要です。外したパーツは外の水道か浴室をお借りして洗います。温水は40-55度でエアコン1台に付き20リットルくらいほしいので,給湯機からの温水が望ましいです。

洗浄排水はホコリやカビを含んで汚れています。危険なものではありませんが,下水に流した方が良いので,トイレに捨てさせてください。

6月から8月の繁忙期は,恐れ入りますが,こちらの空き日程の中でご希望日を選んでいただく形になります。冷房を使わない時期にエアコンクリーニングすることもご検討ください。ご希望日に伺えますし,クリーニング中に室内がサウナになることもありません。10月から5月の間なんていかがですか?ちなみに内部が結露してかびるのは冷房で使うときだけです。暖房時はホコリ対策だけ気をつければ内部は汚れません。

一番汚れていることの多いリビングのエアコンと一緒に,寝室のエアコンも洗いませんか。複数台のご依頼では値引きが設定されています。手を抜かないので劇的に安くなるわけではありませんがお得です。

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