業務用エアコン 天井吊り型 エアコンクリーニングの手順
天井に埋め込み型室内機を設置できない場合や,後付けで馬力の高いエアコンをつけたい場合に「天井吊り型」の業務用エアコンが選ばれます。これは三洋電機エスパシオです。室内機の底面サイズがだいたい130×80センチです。このサイズになると,パーツを一人で外したり組んだりするのは厳しいです。
この形式は「天吊り」と呼ばれます。天井埋め込み型との大きな違いは,室内機全体が天井より下にあることで,大抵一番後ろは壁に接しています。個人的な感想ですが,天井埋め込み型と比較した場合,天吊り型は分解・組み立てが面倒です。室内機を薄型に作るため,ファンはクロスフロー型で大抵4個あり,モーターも大型で重いです。送風効率を上げるためにファンにはそれぞれにケースがあります。熱交換器は送風口に近い場所に分厚い物が一枚あります。熱交換器内側が特に汚れるので内側からしっかり洗浄したいのですが,ファンケースを固定する金属板があり,水流を全面に均等に当てるのが難しいです。高圧洗浄に耐える養生についても,洗浄カバーの扱い,カバーに必要な作業口など,一言で言って天吊り型エアコンは洗いにくい機械です。
機材搬入・動作確認
名刺をお渡ししてご挨拶の後,エアコン下に養生シートを敷き,洗浄機材を搬入します。エアコンの様子やご要望をお聞きしながら,リモコンを使って基本機能のチェックをします。普段お使いになっていて不具合などがあれば,事前に教えてもらえると助かります。エアコン付近の什器・備品の移動は事前に済ませていただければ幸いです。必要なら私どももお手伝いします。エアコン下に机などが置いてあり,その上に乗って良いという場合は,養生して使わせていただきます。
分解・洗浄
電源部は専用ブレーカにつながっています。配電盤のブレーカ,あるいは外部の増設ブレーカを使って電気を遮断します。これは水を使うクリーニング作業に必須の工程です。電源オフできない場合は洗えません。事前にブレーカの位置を確認してくださればありがたいです。専用ブレーカで電源を落とすので,室内の電気はいつもどおりに使えます。電源オフが確認できたら,できる限りエアコンを分解します。写真は洗浄後のもので,フィルターパネルと左右の化粧板,そしてファンケース下側が外れた状態です。電源は200Vです。電源オフしないと触れないのがお分かりいただけけると思います。
この後ドレンパンを外し,制御基盤から外につながる配線を外し,基盤ボックスを降ろします。さらにファンケース,ファン,重いモーター,ルーバーやモーターを外します。分解が済んだら,お客様に洗浄前の状態を確認していただきます。
ドレンパンは冷房のシーズン中ずっと水がたまっているので,汚れています。
残った室内機はこんな状態です。室内機のフレームと熱交換器です。ここまで分解すると,濡れて故障するものがないので思いっきり洗えます。高圧洗浄機の高い水圧と水量で洗うので,濡れてはいけないものを養生して洗うというのは向いていません。
分解が終わると,部品は持ち出して外で洗います。
必要なら室内機付近を養生します。室内機自体はすっぽり洗浄シートをかぶせて高圧洗浄します。洗浄剤を作るため,お湯をバケツに汲ませていただきます。
脚立,外したパーツを置く場所,洗浄機材,バケツなど床に置く物がたくさんあります。エアコンのまわり,特に下の部分が広く空いていると作業しやすいです。
作業中は洗浄機の音が響きます。ケルヒャーの高圧洗浄機ならモーターの低いうなり音,マキタの高圧洗浄機は高い金属的なうなり音です。同じ室内で会話するのは難しいほどの音です。
室内機から外したパーツは外の洗い場で洗います。漂白剤を使って除菌・消臭します。化粧板などは新品の輝きを取り戻します。フィルター,ドレンパン,ファン,ファンケースなどは見違えるようにキレイになります。
組み立て・動作確認
外して洗ったパーツと洗浄を終えた室内機を,お客様に確認していただきます。次の写真はパーツと熱交換器のクリーニング後の画像です。外したパーツは,錆や素材の変色以外はすっきりキレイになり,除菌されています。立てかけたり水分を拭きとったりしてできるだけ乾かします。
下の画像にポインタを乗せてみてください。クリーニング後の画像に変わります。熱交換器の内側はカーボン紙が貼りついているような状態で,これでは風が通りません。ブラシである程度剥がしてから,こびりついていた汚れを洗い流しました。汚れが洗い流され,送風効率が上がります。
アルミフィンが元の色に戻るのは基本として,フィン側面に汚れを残さないことが重要です。業務用のエアコンの熱交換器はかなりの厚みがあるので,水流を貫通させ,洗い流すために高圧洗浄機は有利です。
洗浄廃水です。左が熱交換器を洗う役目を果たした洗浄液,右が1度目のすすぎ水です。すすぎ1度目は水という感じがしません。バケツ20リットル単位ですすぎを繰り返し,排水が澄んできたら終了です。排水はトイレか下水管に直接捨てさせていただきます。
ここから,分解順序をさかのぼって元のように組み立てます。組みたてて通電し,洗浄前と同じように動くか確認します。風速温度計を使って作業前後を計測することもあります。このエアコンは同じ設定で風速が1.0m/s上がりました。熱交換器の熱伝導率も良くなるので,使用電力は20%程度減ることを期待できます。事前にお知らせいただいた不具合も,可能なら修復します。ルーバーがモーター軸から外れて動かないなど,軽微な問題は直せます。
お引き渡し・会計・撤収
動作に問題がなければお引き渡しです。通常お支払いは現金でお願いしています。領収書をお渡しします。領収書は,当店の保証書の意味もありますので保管してください。
養生をたたみ,移動したものがあれば復元して撤収します。
ブログへのアップ
お客様へのご報告,私どもの記憶の助け,当店の宣伝などの要素があり,ほとんどの作業前後を当店のブログにアップしております。もちろん個人情報に当たる詳細は掲載しておりません。掲載を望まないのに無理強いすることはありませんので,ご安心ください。今までのところ,作業前後をしっかり比較できるとご好評いただいています。
作業前後の写真をブログで確認していただけます。
当店のエアコンクリーニングのメリットと…
分解,高圧洗浄,エアコン専用洗剤
- ドレンパン・ファン・モーターまで★★★
ほとんどの業務用エアコンは分解洗浄を想定して設計されており,熱交換器以外のすべてのパーツを外せるように組み立ててあります。ですから,エアコンクリーニングはオーバーホール的な作業になります。外してしまえば,そのパーツの汚れ具合を見ながら手元で洗えます。濡れては困るものを残さないので,高圧洗浄機で思いっきり洗えます。化粧板や制御基板はもちろん,ドレンパン,ファン,ファンモーターを外して洗います。
- 高圧洗浄です★★★
天井吊り型のエアコンを洗うのに最適化した洗浄ガンを使い,高圧洗浄機で洗います。洗浄剤を差し込む時から高圧洗浄です。当店ではケルヒャーの高圧洗浄機で4MPa(約40Kgf/c㎡)で洗います。この圧力により,アルミフィンの側面の汚れを落とし,詰まっている汚れを向こう側に吹き飛ばすことができます。業務用のエアコンの熱交換器は厚みがあるので,圧力と同時に水量も必要です。高圧洗浄機には毎分6リットル吐出する能力があります。20リットル作った洗浄液も,あっという間に使いきる感じです。
天井吊り型エアコン洗浄に最適化した機材。洗浄ガンは市販品ですが,ホースは特注です。
- エアコン専用洗剤を使います★★★
当店は通常ピアを温水に溶かして洗浄剤を作ります。弱アルカリ性で洗浄成分は植物由来の界面活性剤です。天吊りでも可能ならピアで洗います。ですが構造的に汚れの蓄積が進みやすく,洗いにくい形状で,熱交換器に厚みがあるため,アルカリ性の洗浄剤の方が使用量を減らせて効率的です。エアコン用のアルミフィンを傷めないように工夫されていますので,アルカリ性でもフィンを変質させません。
外したパーツは強力な除菌・消臭効果のある次亜塩素酸ナトリウムを主要成分とする漂白剤で洗います。洗いあがったドレンパンや化粧板(正面のパネル)は「新品みたい」と喜ばれます。 - ちょっとしたサービス★★☆
力が足りない・手が回らない時はご安心ください。エアコン周りに置いてある物の移動はお手伝いします。普段動かさない什器・備品の下はホコリがたまっています。簡単にお掃除します。室内機周りの壁紙クロスも気になる汚れを落とします。
当店が経験上感じている限界
- 分解したいのですが☆☆☆
分解の程度は機種や設置状況で異なります。基盤の接続に外せない端子を使っていたり,暖房のための別系統の配管があったりして分解できないものもあります。設置状況で手が入らず,外せないということもあります。工夫しますが,すべてのケースで分解を保証するものではありません。
- 床が濡れます
水を落とさずにクリーニングするのは難しいです。可能な限り濡らさないようにする養生,濡れた場合の対処はしますが,絶対濡れてはいけないものがある場合は事前にご相談ください。
- 保証外☆☆☆
10年以上お使いのエアコンもクリーニングできます。ですがプラスチックに柔軟性がなくなっていて,パーツが破損することがあります。エアコン動作に支障がない破損についてはご容赦願います。
また,クリーニング時に制御基板が原因不明の不良を起こすことがあります。代替品があれば修理可能ですが,代替品がない場合はエアコン一式の交換が必要です。この費用は保険で認められていません。恐れ入りますが10年以上経過したエアコンは動作保証対象外といたします。
- 洗えない☆☆☆
設置状況で洗浄作業が難しい,クリーニングに対するお客様のご要望に合わせるのが難しいと感じた場合,ご注文を辞退することもあります。
エアコンクリーニングをご依頼いただく場合
エアコンクリーニングでは,エアコンの下とその周りに作業空間が必要です。普段何か置いてある場合は,事前に移動していただければ幸いです。最低でも下に脚立が置ける広さ,可能なら畳4枚分ぐらいの空間があると動きやすいです。もちろん力が足りないとか手が回らない場合は,当日お手伝いします。重い棚など移動が不可能な場合は工夫します。
エアコンが設置されている高さは標準的な範囲ですか。標準的な天井高2.5メートル以内の室内でしたらほぼ問題ありません。お店や事務所で天井が高いとか,吹き抜けの位置にあるなど特殊な設置状況の場合は事前にお知らせください。
クリーニングには,電気と水道,できれば温水が必要です。外したパーツは外の水道をお借りして洗います。温水は40-55度でエアコン1台に付き20リットルくらいほしいので,給湯機からの温水が望ましいです。
洗浄排水はホコリやカビを含んで汚れています。危険なものではありませんが,下水に流した方が良いので,トイレに捨てさせてください。
6月から8月の繁忙期は,恐れ入りますが,こちらの空き日程の中でご希望日を選んでいただく形になります。冷房を使わない時期にエアコンクリーニングすることもご検討ください。ご希望日に伺えますし,クリーニング中に室内がサウナになることもありません。10月から5月の間なんていかがですか?ちなみに内部が結露してかびるのは冷房で使うときだけです。暖房時はホコリ対策だけ気をつければ内部は汚れません。
一緒に,別のエアコンも洗いませんか。複数台のご依頼では値引きが設定されています。手を抜かないので劇的に安くなるわけではありませんがお得です。
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