家庭用天井埋め込み型　エアコンクリーニングの手順

一般的な家庭用天井埋め込み型のエアコンクリーニングは，こんな流れになります。比較的よく見かける，ダイキンの天井埋め込み型，送風が2方向のタイプを例にご紹介します。化粧板(天井パネル)のサイズは，50×120センチほどです。

天井埋め込み型のエアコンは電源を，配電盤から室内機までの専用ケーブルで取っています。配電盤の場所を教えてください。配電盤にある，エアコン専用ブレーカで電源を落とします。こうしてお部屋の電気は使えますが，エアコンだけ電源オフの状態になります。電源オフはクリーニング作業に不可欠なので，ブレーカの位置が確認できないとクリーニングはできません。

次に，室内機のすべての部品を取り外します。化粧板(天井のパネル)，制御基板が収まる箱，ドレンパン，送風ファン，モーターのカバー，ファンモーター，ドレンポンプなどです。天井に残るのは室内機の箱と熱交換器だけになります。分解が済んだら，お客様に洗浄前の状態を確認していただきます。化粧板にはルーバー用の小さなモーターが付いているので，取り外します。化粧板は室内側も，そしてこの写真の通り天井裏側も汚れていることが多いです。モーターを外せば洗うことができます。

化粧板の内側にドレンパンがあり，これも汚れています。ファンも外せば汚れ落ちを確認しながら洗えます。ドレンポンプも取り外します。写真ではポンプを分解してあります。ドレンパンやポンプが見てわかるほど汚れている場合は，分解して中の羽を洗えば排水効率が上がります。

すべてのパーツの取り外し(分解)が終わって，箱の中に収まる熱交換器がむき出しになりました。この機種の場合は送風カーブが発泡スチロールの成型品で，カビが生えているのが分かります。熱交換器に目立った汚れはありませんが，本来のアルミフィンの色より黒っぽいので，汚れやカビが出ているのが分かります。このあたりがニオイの原因です。アルミフィンの色についてですが，青っぽいことにお気づきと思います。これはカビや錆を防ぐための親水コーティングです。あまり強い洗剤を使うと剥げてしまいますが，ピアで作った洗浄液なら安心です。

室内機の箱をすっぽり覆うように養生し，洗浄時の排水をバケツに落とす洗浄カバーを取りつけます。養生や洗浄カバーの使用方法はその時の状況で変化しますが，洗浄中に水が飛び散ることはありません。洗浄剤を作るため，熱めのお湯をバケツに汲ませていただきます。作業中は洗浄機の音がゴトゴトとうるさいです。エアコン下に水が落ちることがありますが，防水の養生シートが敷いてあるので床は濡れません。

洗浄でびっくりするほど汚れた排水が出ることがあります。これはクリニックの待ち合い室のエアコンから出た排水です。禁煙ですしキレイな室内環境で使われていても，絶えず空気の循環をしているとホコリや砂塵をためてしまうんですね。洗浄廃水は危険なものではありませんが，トイレあるいは下水管に捨てさせていただきます。

外したパーツは通常外の洗い場で洗います。漂白剤を使って除菌・消臭します。化粧板などは新品の輝きを取り戻します。ただいま乾燥中。

外して洗ったパーツと洗浄を終えた室内機の熱交換器を，お客様に確認していただきます。汚れていたドレンパンとファンもプラスチックの黒い艶を取り戻しました。

熱交換器は近くで見てもみずみずしい水色のアルミフィンに戻りました。

その後，部品を元通りに戻し，配線も元のように復元してコネクターをつなぎます。化粧板モーターへの配線まで復元できればブレーカをあげて通電します。エアコン内部で自動診断が行われるのを待ったらリモコンでスイッチオン。ルーバーが動いて送風が始まり，さわやかな冷たい風が出てクリーニング完了です。洗浄前と同じように動作するか，動作チェックをします。

動作に問題がなければお引き渡しです。通常お支払いは現金でお願いしています。領収書をお渡しします。領収書は，当店の保証書の意味もありますので保管してください。

養生をたたみ，移動したものがあれば復元して撤収します。

お客様へのご報告，私どもの記憶の助け，当店の宣伝などの要素があり，ほとんどの作業前後を当店のブログにアップしております。もちろん個人情報に当たる詳細は掲載しておりません。掲載を望まないのに無理強いすることはありませんので，ご安心ください。今までのところ，立ち合えなかったご家族やご友人に見せられるとご好評いただいています。

作業前後の写真をブログで確認していただけます。

分解，高圧洗浄，エコ洗剤

• ドレンパン・制御基板・ファン・モーター・ドレンポンプまで★★★

  当店は，洗う前にどこまで分解するかが重要だと考えています。
  外してしまえば，そのパーツの汚れ具合を見ながら手元で洗えます。パーツが重なり合っていて水流が届かなかった部分が洗えますし，濡れては困るものがないので思い切り洗えます。ほとんどの天井埋め込み型は，熱交換器以外のパーツを外せるように設計されていますので，養生ではなく外す方向で考えています。

• 高圧洗浄です★★★

  洗浄剤を差し込む時からキョーワ製のポンプを最高圧3.5MPa(約35Kgf/c㎡)で使います。この圧力により，アルミフィンの側面の汚れを落とし，詰まっている汚れを向こう側に吹き飛ばすことができます。小型の高圧洗浄機マキタMHW710を使うこともあります。この機材は運転時に金属的なうなりがあってうるさいですが，最高圧7MPa(約70Kgf/c㎡)の水圧と毎分6リットルの水量で熱交換器の洗浄は威力を発揮します。

• エコ洗剤を使います★★★

  通常ピアを温水に溶かして洗浄剤を作ります。弱アルカリ性で洗浄成分は植物由来の界面活性剤です。これに汚れへの浸透力を強化するためにリモネンを添加します。
  ただし，たばこのヤニや油で粘着質の汚れがある場合は，エアコン用に作られているアルカリ性洗浄剤を使います。
  外したパーツは強力な除菌・消臭効果のある次亜塩素酸ナトリウムを主要成分とする漂白剤で洗います。洗いあがったドレンパンや化粧板(正面のパネル)は「新品みたい」と喜ばれます。

• ちょっとしたサービス★★☆

  力が足りない・手が回らない時はご安心ください。エアコン周りに置いてある物の移動はお手伝いします。普段動かさない家具の下はホコリがたまっています。簡単にお掃除します。室内機周りの壁紙クロスも気になる汚れを落とします。

当店が経験上感じている限界

• 分解したいのですが☆☆☆

  分解の程度は機種や設置状況で異なります。モーターの軸が錆びていてファンが抜けないこともあります。工夫しますが，すべてのケースで分解を保証するものではありません。

• 保証外☆☆☆

  10年以上お使いのエアコンもクリーニングできます。ですがプラスチックに柔軟性がなくなっていて，パーツが破損することがあります。エアコン動作に支障がない破損についてはご容赦願います。

  また，クリーニング時に制御基板が原因不明の不良を起こすことがあります。代替品があれば修理可能ですが，代替品がない場合はエアコン一式の交換が必要です。この費用は保険で認められていません。恐れ入りますが10年以上経過したエアコンは動作保証対象外といたします。

• 洗えない☆☆☆

  古いエアコンで構造的に分解が難しい，設置状況で洗浄作業が難しい,クリーニングに対するお客様のご要望に合わせるのが難しいと感じた場合，ご注文を辞退することもあります。

エアコンクリーニングでは，エアコンの下とその周りに作業空間が必要です。普段何か置いてある場合は，事前に移動していただければ幸いです。最低でも下に脚立が置ける広さ，可能なら畳4枚分ぐらいの空間があると動きやすいです。もちろん力が足りないとか手が回らない場合は，当日お手伝いします。机や台など，その上に立っても構わないのであれば，そのまま作業させていただきます。

室内機への電源を落とすため，配電盤のブレーカを作動させます。配電盤のエアコン専用ブレーカを事前にご確認いただければ幸いです。

クリーニングには，電気と水道，できれば温水が必要です。外したパーツは外の水道か浴室をお借りして洗います。温水は40-55度でエアコン1台に付き30リットルくらいほしいので，給湯機からの温水が望ましいです。

洗浄排水はホコリやカビを含んで汚れています。危険なものではありませんが，下水に流した方が良いので，トイレに捨てさせてください。

6月から8月の繁忙期は，恐れ入りますが，こちらの空き日程の中でご希望日を選んでいただく形になります。冷房を使わない時期にエアコンクリーニングすることもご検討ください。ご希望日に伺えますし，クリーニング中に室内がサウナになることもありません。10月から5月の間なんていかがですか？ちなみに内部が結露してかびるのは冷房で使うときだけです。暖房時はホコリ対策だけ気をつければ内部は汚れません。

一番汚れていることの多いリビング天井のエアコンと一緒に，寝室のエアコンも洗いませんか。複数台のご依頼では値引きが設定されています。手を抜かないので劇的に安くなるわけではありませんがお得です。

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